歯科臨床医のニーズに応え続ける総合学術出版
ホーム > お知らせ > 2016年SCRP日本代表は鹿児島大学・神園 藍さんに決定!

2016年SCRP日本代表は鹿児島大学・神園 藍さんに決定!

 今年で22回目を迎えた日本歯科医師会/デンツプライシロナ「スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム(SCRP)」の平成28年度日本代表選抜大会が,去る8月19日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館にて開催された.

 周知のように,本プログラムはポスタープレゼンテーションで研究成果を競い合うが,プレゼンテーションも質疑応答も,すべて英語で行われる.本年度は開催以来初の全国歯科大学・歯学部29校すべてが参加した歴史的大会となった.審査の結果,鹿児島大学歯学部4年生・神園 藍さん(ファカルティー・アドバイザー:松口徹也教授,研究指導協力者:楠山譲二助教)が優勝し,日本代表として10月20日より米国コロラド州デンバー市で開催されるADA/SCRP年次大会に派遣され,各国代表と共に発表を行う.

 また,スチューデント・クリニシャン経験者による発表では,みはる矯正・歯科医院の関根陽平先生(平成14年度昭和大学代表)による講演が行われた.自身が出場した時は,“共に困難を乗り越えた仲間”と“目標を遂行した自信”を手にしたと,改めて喜びを語ったほか,自身が現在関わっているスポーツ歯科の活動について述べた.最後に選手たちに夢を実現させる秘訣として,ウォルト・ディズニーの格言である「4つの“C”(Curiosity:好奇心,Confidence:自信,Courage:勇気,Constancy:継続)」を紹介し,エールを送った.

 以下に上位入賞者一覧を示す.

第22回SCRP日本代表選抜大会・上位入賞者

●基礎部門1位
 優勝  神園 藍さん(鹿児島大学歯学部4年生)
 研究テーマ:Syk活性阻害は間葉系幹細胞の骨分化を促進し脂肪分化を抑制する

●臨床部門1位
 準優勝  加藤みなみさん(広島大学歯学部6年生)
 研究テーマ:Porphyromonas gingivalisの歯性感染は肝星細胞を活性化し非アルコール性脂肪性肝炎の状態を進行させる  

●基礎部門2位
 小湊広美さん(東京医科歯科大学歯学部6年生)
 研究テーマ:腫瘍細胞における放射線照射後の細胞周期動態が放射線感受性に及ぼす影響

●臨床部門2位
 小村晃広さん(大阪歯科大学4年生)
 研究テーマ:フッ素置換脂肪酸を用いた歯面の化学修飾による着色予防

 

抄録 Syk活性阻害は間葉系幹細胞の骨分化を促進し脂肪分化を抑制する
    神園 藍(鹿児島大学歯学部4年生)

 間葉系幹細胞(MSC)は培養条件により骨芽細胞や脂肪細胞へと分化できる多能性幹細胞である.MSCは歯周病による骨欠損を再生医療で回復させる有用な移植源であるが,MSCを骨芽細胞へと分化させる初期段階の分子機構には不明な点が多い.
 我々はSyk(Spleen Thyrosine Kinase)と呼ばれる非受容体型チロシンキナーゼに着目し,MSCの骨及び脂肪分化におけるSykの機能を検討した.Sykは未分化MSCに強く発現し,骨芽細胞と脂肪細胞への分化に伴い発現が急激に低下した.MSCにSyk特異的阻害剤を施すと,骨分化に伴う石灰化基質形成とOsteocalcinの発現が上昇した.一方,脂肪分化による脂肪滴形成とFabp4の発現は減少した.次にSykの下流シグナル経路を検討したところ,Syk骨分化時にはPLCγ1を,脂肪分化ではPLCγ2を特異的に活性化し,本シグナルの選別にはSykアダプター分子のGrb2とBLNKが関与していた.更に,Sykの骨分化制御機構には抑制性転写因子Hes1が関与することが示唆された.
 本研究により,Syk活性を阻害することでMSCの骨分化を促進し,脂肪分化を抑制できることが分かった.Syk阻害剤は破骨細胞機能を抑制することが報告されており,Sykの機能抑制は骨形成を促進し,骨吸収も抑制する薬剤として骨再生療法に応用できる可能性がある.

 

 

 

発表と質疑応答はすべて英語で行われる(写真上段).表彰後、参加者全員の前でプレゼンテーションを行う神園 藍さん(内容は抄録参照・写真中段).本年度入賞者(左から小湊広美さん,神園 藍さん,加藤みなみさん,小村晃広さん・写真下段).

 

 

このページのトップへ