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2017 年SCRP日本代表は広島大学歯学部の吉野 舞さんに決定!

今年で23回目を迎えた「スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム(SCRP)」(主催:日本歯科医師会/後援:デンツプライシロナ)の平成29年度日本代表選抜大会が,去る8月18日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館にて開催された.

 周知のように,本プログラムはポスタープレゼンテーションで研究成果を競い合うが,プレゼンテーションはすべて英語で行われる.本年度は全国歯科大学・歯学部28校が参加し,審査結果の発表には日本歯科医師会の堀 憲郎会長,Dentsply Sirona Inc.のテレサ・A.ドラン副社長,デンツプライシロナ株式会社の北本優子代表取締役社長も駆けつけ,盛大なものとなった.

 審査結果の発表に先立ち和泉雄一審査員長から,今年度より米国SCRP大会はアメリカ歯科医師会(ADA)から国際歯科研究学会米国部会(AADR)主催に変更となり,日本を含む各国代表による発表もAADR学術大会で行われる旨が報告された.

 審査の結果,広島大学歯学部5年生・吉野 舞さん(ファカルティー・アドバイザー:吉子裕二氏,南崎朋子氏)が優勝し,日本代表として2018年3月21日から米国フロリダ州フォートローダーデール市で開催されるAADR学術大会に派遣され,各国代表と共に発表を行う.

 また,スチューデント・クリニシャン(SC)経験者による発表では,昨年優勝した神園 藍さんをはじめ4人のSCを研究指導協力してきた鹿児島大学の楠山譲二先生(第13回スチューデント・クリニシャン)による講演が行われ,学生たちは熱心に耳を傾けた.

 以下に上位入賞者一覧を示す.

第23回SCRP日本代表選抜大会・上位入賞者

優勝
●基礎部門1位
 吉野 舞さん(広島大学歯学部5年生)
 研究テーマ:単一細胞トランスクリプトミクスによる骨芽細胞の多様性の解析

準優勝
●臨床部門1位
 福留 彩音さん(日本大学歯学部5年生)
 研究テーマ:歯槽骨吸収予測指標としての歯肉溝滲出液中ストレスシグナリングの解析と臨床応用への検討 

●基礎部門2位
 松本 夏さん(大阪大学歯学部4年生)
 研究テーマ:オートファジー誘導にはカリウム流入を抑制するホスファターゼが必須である

●臨床部門2位
 柳田 陵介さん(東京歯科大学5年生)
 研究テーマ:フッ化物微量拡散法による乳児一日フッ化物摂取量評価

抄録 単一細胞トランスクリプトミクスによる骨芽細胞の多様性の解析
    吉野 舞さん(広島大学歯学部5年生)

 骨形成を終えた骨芽細胞は多くがアポトーシスにより死に至るが,一部は骨細胞やライニング細胞へと分化する.また,加齢や骨粗鬆症等の病態に伴い脂肪細胞へと分化転換する例も報告されている.しかし,これらの分子基盤は殆ど解明されていない.そこで,以下の方法で骨芽細胞の遺伝子発現レベルを単一細胞レベルでプロファイリングするとともに,脂肪細胞への分化転換能について検討を加えた.
 Col1a1プロモーター制御下でLyn-Venusを発現するレポーターマウスを作成し,同マウス新生仔頭頂骨よりVenus+細胞を分離した.同細胞について単一細胞レベルでハイスループットmRNA Seqを行い,そのうち90細胞のトランスクリプトーム解析を行った.Venus+細胞の脂肪細胞分化能はin vitroで確認した.
 教師なし階層的クラスタリング解析の結果,Venus+細胞は大きく2つの集団に分類され,一方はさらに複数に分類された.Ppargをはじめとする脂肪細胞分化に関与する遺伝子群も多数発現しており,PPARγの合成リガンドを負荷すると,Venus+細胞の一部は脂肪細胞へ分化した.
 以上より,今回,単一細胞レベルにおいて骨芽細胞の多様性が初めて明らかとなった.また,一部の骨芽細胞集団は脂肪細胞分化能を持つものと考えられた.

 

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